対話

 6月に連日30度を超す暑い日々が梅雨であることを忘れさせてしまうくらいだった。畑をしているひとは水やりが大変だと言っている。
 つい先日はマーゴちゃん達が1日水遊びをしていたのに、今日は一転して涼しい日となった。虎次郎が土曜日に仕事が入ると、子虎ちゃんのお守りに出掛けていた私達だった。 7月になったので、今度家族5人で泳ぎに行くよと連絡があった途端に、涼しくなってしまった。降るときになると、これまたバケツをひっくり返したような雨で、あちこちに被害や災害がある。全世界でこんな調子なのだから、地球がうめいているのではないかと思ってしまう。

 さて、夫と義姉は毎日姑の病院に行っている。私は、最近はときどき母の所へも行くことにしている。義姉は昼食時にやってきて、必死で姑にものを食べさせようとしている。姑にとって食べることは大変なことのようで、早く寝たい様子で、最後には口も開けなくなってしまう。栄養点滴はしているものの、少しでも口から入れようと必死な義姉の気持ちも分かるので、夫も何も言わない。もちろん私は何も言わない。義姉は「ほら食べて」と言うが姑は口に含んだままなかなか呑み込まない。「コクンして、ほらコクン!!」と義姉がまくし立てている。
 今日は義姉が趣味のサークルの都合で来られなかった。お昼、夫と二人で姑の所に行った。いつもは義姉一人で大声で矢継ぎ早に話しかけていて、私も夫も黙っているだけなのだが、今日は夫がいろいろと静かに話をしていた。
「婆ちゃん、ひ孫が8人いるんだよ。」「そうか、そんなに・・・」
「もうすぐ泳ぎに来るって、会えるよ」「孫はかわいいなあ」
時々、姑の中の孫は、まだ幼い頃の虎太郎や虎次郎なったりする。
「虎太郎も虎次郎も、もう大人になって働いているよ」と言ったらびっくりしていた。
いろいろと話をしていると、ぼんやりしていた記憶が少し戻ってくるのか、何だか対話が成立する場面もよくあった。姑もよく話をした。
 先日は夫の事も私の事も全く認識していなかったけれど、今日はいくらかわかっているようだった。
「はなちゃんって、私の娘なの?」と尋ねていた。
「いや、私の嫁さんだよ」と夫が言ったら、これまたびっくりしていた。
 1歳から乳児園に行った息子達だったが、送り迎えは姑がしてくれた。
そんな話をすると懐かしそうに反応していた。孫はやはりかわいいらしい。
 今日発見をしたことは、話をすることの効果だ。自分も何か話をしようと思うと、口に入れた物を飲み込まなくてはならない。 そんな弾みで、少しずつ飲み込むことが多かった。
1時間近く起こしていろいろと話をしていたので、疲れたらしい。眠いという姑を眠らせて帰宅した。
「義姉の気持ちは分かるけれど、『たべなさい』とシュプレヒコールするより、話しかけることの方が良いかも」と夫と話した。
 姑は自分の両親の事も話していた。「また会いたい」と。
これも夫が「もうみんな亡くなったよ」
「9人いた兄姉もみんな亡くなって、一番長生きしているのが婆ちゃん一人だよ」と言ったら驚いていた。
昔の若かった頃のこと、孫の事、本人の親族達の事など、断片的なことを話してあげるのが安らぐのかも知れない。
本人は、自分の年齢は60歳ぐらいだと認識している様子だ。
時々大きなため息をつきながらもいろいろなことを話していた。
現在認識はあるとのことで、まだ対話が出来ることが救いだった。

「孫がかわいい」と言っていたので、海水浴に来たら、姑に会わせてあげようと思った。
息子達もそのつもりで近いうちに行くと言っているのではないかと思う私である。
 
 大人にも子どもにも、穏やかな対話は必要なのだろう。

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この記事へのコメント

2013年07月04日 09:04
穏やかに流れる時間・・
お姑さんにとっての至福のひとときでしたね。
はなさんや虎様のお優しさに心打たれました。
記憶の引き出しからは、きっと良かった想い出だけが引き出されますね。
2013年07月04日 11:37
ベラさん
姑は時々笑いながら、楽しそうに応対していました。
30年以上も前、孫達を保育園に送り迎えした日々など、懐かしく思いだしているようでした。
90歳以上まで生きたのですから、こんな時間を大切にしたい物だと思いました。
2013年07月04日 17:32
それぞれのペースがあって、無理をさせても良くは無いのでしょうが、子供としては変わっていく親をどこか寂しくもあり、何とかしなければと強く思う気持ちが義姉さんに表れているのでしょうね。
また、その姿を自分にも投影し、自分はこうはならないぞって言い聞かせるように強くなってしまうのかもしれません。
人は何時か老い、死んでいくのでしょうが、それまで元気でいて欲しいと子供なら思うし、一日でもその日を長くとも願うのでしょうね。気持ちも分かるだけになんとも言えませんが、たまにゆっくり話してみるのも良いかもしれませんね。
2013年07月04日 23:02
はるばるさん
義姉の気持ちはとても良く分かるだけに、夫も私も黙っていますけれど、
対話が成立したり、認識出来たりすると難しいものがありますね。
私は夫の判断に一切口出しをしない予定でいます。

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